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再び、歴史小説のように
2007.05.16 (Wed)
米子・車尾の戦い、二日目。
この日も岡田軍は、苦戦を強いられていた。

先発隊を率いた福原東洋(ふくはらとうよう)は、
はやばやと、茶鯉軍の前線部隊に、蹴散らされてしまった。

「彗星」の異名を取った赤星国鉄(あかほしこくてつ)を中心とする騎馬隊。
これを欠いた攻撃陣は、今日も機能しない。
林威助(はやしいすけ)、
金本鉄人(かねもとてつんど)、
今岡長介(いまおかちょうすけ)の主力三部隊も、
次々と討ち取られていく。

中西土佐守清起率いる救援部隊、通称「大統領」は、
結局、この日も前線で孤立無援の戦いを余儀なくされた。

攻撃陣は、一向に打開策を見いだせず、苦戦している。
亥の刻になった。
攻撃の機会は、おそらくあと一度。
しかし、今日の攻撃部隊の様子では…。

敗色濃厚。

そんな折り、中西土佐守の元に、本陣からの伝令が飛び込んでくる。
中西は、わが耳を疑った。
「橋本隊を突撃させよ」

橋本健太郎は、前回の「霞ヶ丘合戦」において、
獅子奮迅の活躍を見せ、「大統領」の主力部隊になりつつある。
その橋本を、この劣勢の戦に投入する意味が、いったい、どこにあるのか。

前日も、同じことがあった。
刻は違えども、戦況は今日と同じ。
中西は、渡辺奈来(わたなべなくる)の出番だと思っていた。
ここしばらく、先発隊が早々に撤退を余儀なくされる展開が続く。
そんな場面では、この渡辺がいい働きをしている。
元来、気持ちの強い男ではないが、
それも徐々に解消されつつあった。

「渡辺隊も、主力として計算が立てば」
中西は、そう考えていた。
昨年末、先発隊の柱であった井川湖南(いがわこなん)が、逐電してしまった。
殿は、その穴を、すべて救援隊で賄うという無謀な戦略を立て、ここまで戦ってきている。
当然のことながら、救援隊は、例年以上に疲労の色が濃い。
そんな中、苦労しながらも、橋本が成長してきた。
そしていま渡辺も、あと一歩のところまで来ている。
ここで渡辺が押しとどめてくれれば…。

そんな中西の期待は、木っ端微塵に吹き飛ばされた。
本陣からの伝令は「橋本隊、出撃」であった。

中西は、伝令の言葉を聞き、橋本の隣でがっくりと肩を落とした渡辺の表情が、
今も目に焼き付いている。

そして今日は、橋本の隣で、やはり伊代野楼村(いよのろうそん)がうなだれている。

(本陣は…、本陣は前線で戦う武士の気持ちをなんと考えるか)
(久保殿も久保殿じゃ。無理使いされる武士の気持ちは、久保殿もよくご存じであろうに)

「早うせよ。殿の命令じゃ」
伝令の催促に、中西は我に返った。
横柄な伝令をこの場で斬り殺したい、
そんな衝動を、すんでの所でこらえた中西は、
「すまない。行ってくれるか。健太郎」
そう言うのがやっとであった。

橋本隊は、茶鯉軍の波状攻撃を浴び、なすすべなく壊滅した。
制止を聞かず、たまりかねて飛び出した伊代野が、なんとか橋本を救出した。
救援隊は、そんな伊代野を拍手で迎えた。

そのころ、本陣では…。

「あ~あ。なんじゃ、橋本は。頼り甲斐のない男じゃのう」
「そうでございますな」
「うむ、久保よ。たれかほかに、ええ男はおらんのか?」
「は、上園武蔵(うえぞのむさし)が力をつけてきておるとの報告が」
「ほう、そうか。ならば早うにその男をここへ呼べ」
「橋本はいかがいたしましょう」
「顔も見とうないわ」
「御意」
「それからあの伊代野とかいう奴も、軍令違反のかどで後方部隊へ回せ」
「代わりの者は」
「そなたが適当に見繕っておけばよいわ」
「御意」

救援隊の孤立はますます深まる。
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コメント
■ねーみんぐ
渡辺奈来(わたなべなくる)と伊代野楼村(いよのろうそん)が特にツボいでしたわはは。
DoraNeko |  2007.05.16(水) 23:07 |  URLコメント編集
■DoraNekoさま。
DoraNekoさん…。ホンマにすいません。
また、やってしまいました。
何とぞ、何とぞご再読のほど、重ねてお願い仕りますう~!
喜八 |  2007.05.16(水) 23:16 |  URLコメント編集
■笑っちゃいました
中西土佐守の苦悩が手に取るように感じられ、はらはらどきどきしました。
伊代野楼村さんはいい人ですね!
京女 |  2007.05.16(水) 23:23 |  URL【コメント編集
■京女さま。
今日は、自分自身の怒りをすべて、
中西土佐守に移植してみました(笑)。
ハシケンが不憫でなりません。。。
喜八 |  2007.05.16(水) 23:29 |  URLコメント編集
■『その時歴史が動いた』
(松平アナ)翌、倉敷吉備の合戦にも敗れた岡田猛虎軍率いる二十五勇士達は、摂津・甲子園城に生き恥晒して帰還することを拒み、益勝都城に篭城、全員、自決したのだった。
いわほー |  2007.05.16(水) 23:47 |  URLコメント編集
■ハシケンだけが本名ってのが泣けた
>「大統領」
 久保田百六十帰路之介殿に、
 もうちょいブログの記事をひねって書けとお伝えくだされ。
KEN |  2007.05.16(水) 23:59 |  URLコメント編集
■いわほーさま。
おお、なんと美しい最期…って、死んだらアカン!
君らが死ぬことはない!
そこのバカ殿を簀巻きにして、
益勝都城の井戸に放り込んでまえ!!!!
あ。そしたら、
「先発が一枚足りな~い…」
という声が聞こえて…。
喜八 |  2007.05.17(木) 00:06 |  URLコメント編集
■KENさま。
>ハシケン
どうにも良いのが浮かんでこなくて…。

>久保田百六十帰路之介
しかと承った。
喜八 |  2007.05.17(木) 00:07 |  URLコメント編集
■伊代野⇒小早川秀秋みたい…
DoraNekoさんと同じく! 笑


あ、喜八先生!
本日(5/18)は、山崎ハコさまのバース・デーにございまする!
げに。
怖れながら……。50歳とのコトで。
観宙斎 |  2007.05.18(金) 08:21 |  URL【コメント編集
■観宙斎さま。
せ、先生はやめい。
「歴史の授業」のトラウマがよみがえる。。。

うーん、ハコさまも50歳になられましたか。
そうやろなあ。なんたって『テンポイントの詩』やもんなあ。
涙で蹄を濡らすなあ♪
あ、ちなみに歌詞は寺山修司。
時代やねえ。
喜八 |  2007.05.18(金) 22:31 |  URLコメント編集
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