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ロッカールームのベンチで君は
2007.08.27 (Mon)
甲子園球場のコーチ専用ロッカールーム。
久保コーチ以下、主立った面々が集まり、
「藤原の再就職先」について、侃々諤々の議論が繰り広げられていた。

さいしゅうしょくさき。

意外と言いにくいなあ。

議論にはあまり興味がなかった吉竹コーチが、
そんなことをうすぼんやりと考えつつ、
この日11本目のヴァージニアスリム・メンソールに火をつけようとしたまさにそのときである。

ドンガドンガドンガラガッシャーーーン!!!

ロッカールームの隣にある監督室から轟音が鳴り響いた。

「なにごとか?」
コーチ陣は、色めき立った。

悪い予感がしたのである。

阪神タイガースという球団には、数々の暗い過去がある。

そのうちのひとつが「金田監督殴打事件」だ。
昭和48年、当時の金田正泰監督が、
夏のロード真っ盛りの時期に、サイドスロー投手の鈴木皖武に殴られ、
続いてファン感謝デーの日に、ベテランサウスポー、権藤正利に殴られたのだ。
二人とも、監督の起用法に不満を持っていたようである。
この年は、巨人と最終戦まで優勝を争った年。
そんなときに何をしとんねん、という話である。

監督が選手を殴ることはままあれど、
選手が監督を殴る、しかも1年で2人も、などというのは前代未聞の出来事である。
さらに驚くべきは、こうした事実がマスコミを通じて瞬く間に広まってしまったことだ。
一体全体このチームの危機管理はどうなって……。
うむ、今はそんなことはどうでもいい。
ともかく、ロッカールームにいるコーチ陣は、一様に心臓がバクバクしていたことは間違いない。

起用法に不満を持つ選手が監督を殴る…。

起用法に不満を持つ選手が…。

起用法に不満…。

アイツか?

いや、アイツもや。

いやいや、アイツもや。

いやいや、アイツを忘れたらアカンで。

いやいや、それを言うならアイツもやで。

いやいや、アイツなしに、それを語ったらあかんで。

……。

……。

……。

「これはあかん!」

「広澤、ちょっと見てきてくれ!」

ここで広澤コーチが選ばれたのはほかでもない。
暴れる選手を抑えられるのは彼しかいない。
当然の選択であろう。
彼らは、元来優秀な人たちである。
岡田監督さえいなければ、適材適所に人材を配することなど、朝飯前なのだ。

広澤は幾分緊張した面持ちで、ゆっくりとロッカールームを出て行った。

                      ◇

監督室の前に立つ。思ったより静かだ。
修羅場はもう、終わったのだろうか。
監督はどうなってしまったのだろうか。

コンコン。「どーもー」。
コンコン。「どーもー」。

返事がない。
広澤は意を決して、監督室の扉を開けた。


ギギギギギギギギギギギーー


部屋の中に入ってみたが、広澤が想像していたあんな選手やこんな選手はおろか、
岡田監督の姿さえ見えなかった。

「どーもー」。

広澤がもう一度声をかけると、いきなり、
目の前にあった机の後ろの隙間から、岡田監督がはい出してきた。
ちなみにこの机は、岡田監督が試合前に、
気晴らしにパラパラマンガを書くときに使う、マホガニーの机である。
マホガニーが泣いている。

「監督、大丈夫ですか…」
「イタタタタタ…。おお広澤か。なんとか大丈夫や」
「どうしたんですか、いったい」
「いや、棚がな」
「棚?」

そう言えば、机の真後ろの壁にあった、作りつけの棚がなくなっている。

あの棚が落ちたのか……?

監督は一体、あの棚に何を載せたんだ……?

                      ◇

さて、賢明な読者諸君ならば、監督室で岡田監督が一体何をしていたのか、
もうお分かりになっていることであろう。

こんな状態で、オチを書かねばならないということは非常に心苦しい。
「藤原がんばれー!」と声をかけるのと同じくらい、心苦しい。
ここはあえてスルーしてあげるのも、大人の対応ではないか。

だから、今日は大人の対応をしてもらいたい。
あえて、あえてオチなしのまま終わらせていただきたい。

え?ダメ?

しかたあるまい。ここは恥を忍んで最後まで書こう。

                     ◇

「監督、一体あの棚の上に何を載せたんですか?」
「俺や」
「え?」
「俺が載ったんや」
「何でまた…、ああ!」
「皆まで言うな」
「はあ」
「今年は、あそこに上がることが多くてなあ」
「今年だけですか?」
「お前も鳴尾浜行くか?」

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【記事編集】 |  23:05 |  妄想  | トラックバック(0) | コメント(4) | Top↑
秘密
2007.08.27 (Mon)
今日の藤原に、平常心を求めるのは無理だ。


試合開始前のことである。

ロッカールームを一番最後に出た藤原は、

出口のところに、長さ3センチほどのボルトが落ちているのを見つけた。

「なんでこんなところに…」

と思い、拾い上げると、

突然、目の前に金本が現われた。

金本は、

「おお、そんなとこに落ちとったか」

と言い、藤原の手からボルトを、ひょい、と取り上げた。

そして、ベンチに腰かけると、おもむろにユニフォームの左足の方のズボンをたくし上げ、

慣れた手つきで、膝の外側に開いている小さな穴に、

くるくるくるくる……

と、そのボルトをはめだしたではないか。

藤原が、あっけにとられてその様子を眺めていると、

視線に気付いた金本は、

「これか。ねじ穴がバカになっとってなあ、すぐはずれてしまうんじゃ」

平然と、そう言い残して、ロッカールームを出て行った。

「よっしゃ、これで2,3日はもつなあ」

金本の声を背中越しに聞きながら、藤原は、その場に呆然と立ち尽くしていた。


今日の藤原に、平常心を求めるのは無理だ。
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